帰り道、そういえばと

母が駅前のカフェで会っていた男の人を思い出した。

父によく似ていた人。

会ったことはないけど、父には弟がいると聞かされたことがあった。


「なんだぁ、そっかぁ…」

納得した気持ちを口に出せば、なんとなく気分が軽くなった。

あの日、自分だけが世界に見捨てられたような気持ちになっていたけど


今思えば、つねに動いている世界や時間に、自分がついて行っていなかっただけで…

ちゃんと前に進んでいれば、目に映る物はゆがんだりはしない。