ちょっ、お姉ちゃん?


あたしの嫌がることはしない―――。

あたしに手を出さない―――。


なんなの、この約束って……。

中学生じゃあるまいし、こんな約束。


「バカみたい」


「そういうこと言わないの!!」


間髪入れず、横から松田さんに怒られた。


「…… ごめんなさい」


しゅん、と俯く。


手を出さないってことは、手を繋ぐのもダメなのかな?

手、繋ぎたいな。


「手を繋ぐくらいなら、美春先輩との約束破ってないと思わない?」


その言葉に、あたしは透かさず顔を上げる。


「破ってない!!」


松田さんもあたしと同じことを考えていたのかな?


「じゃあ、繋いで帰ろ?」


「はいっっ」


やった。

彼氏と手を繋ぐ、叶ったり!!


松田さんに手を差し出されたので迷うことなく、その手に飛びつく。


手と手を重ねただけなのに、暖かい。

心がとても、暖かい。