未空は公園のベンチに座って俯いていた。

彼女の隣には幼い心晴と卓也。

2人は彼女を心配しているのだろう。

何も話さず、じっと彼女の様子を見つめている。

「...大丈夫かよ。」

見かねた卓也がそう問えば、未空は ごめんね、大丈夫だよ と言う。

全然大丈夫そうに見えない2人は、眉間に皺を寄せる。

小学生に気を使わせるなんて、年上失格だ。

未空は内心そう思ったが、沈んだ心はどうしようもなかった。


「おねえさん、太郎の事好きなの?」

幼い心晴が突然そんな事を聞いてきた。

未空は驚いて顔をあげる。

「え、」

「すきなの?」

もう一度同じ質問をしてくる彼に、未空はすこし頬を赤らめて頷いた。

「うん、好きだよ。...けどね、私じゃ駄目なの。」

「何が?」

「好きなのに、私は何もしてあげられないの。

一番つらいのは彼なのに、私は理解してあげれなくてさっきも傷つけちゃったし...。」

「でも、太郎がさっきみたいにお姉さんにいろいろ言うのは

お姉さんと仲良くなりたいからじゃないの?」

よくわかんないけど、と卓也は言う。


「太郎はおねえさんのことが好きだから悲しいんだよ!」


幼い心晴は表情をパッと明るくさせて言う。

それを隣で聞いていた卓也は は? と声をだす。

幼い心晴が何が言いたいのかわからなかったらしい。