その日、地球は滅亡した



ラーメン屋を出て夏なのに少し寒い夜道を歩く。

先ほどよりも人どおりはかなり少なくなっていることに安心した。


そういえば、未空ちゃんが乗ってきたタイムマシーンは何所にあるんだろう。

俺は気になって、未空ちゃんにしか聞こえない声音で聞いた。

「未空ちゃんが乗ってきたタイムマシーンって、何所?」

「...空地に、あると思います。」

「マジで?」

どうやら同じ場所に着陸していたらしい。

「空地の、裏口近くの草叢(くさむら)の中に着陸したんで、気付かないのも無理ないです。」

「わかった。」

未空ちゃんのタイムマシーンが壊れてないなら、彼女だけでも未来に帰そうと思う。

そうすれば彼女は危険な目にあうことはない。

「未空ちゃん、タイムマシーンが壊れてなかったら「嫌ですよ。」

言葉の続きを察したのか、未空ちゃんはムッとした表情で俺に言う。

「1人で帰るなんて、嫌です。帰るときはみねッ...慧さんも一緒です。」

「...。」

「何話してんの?」

俺たちがコソコソと会話をしている事に気づいた心晴が声をかけてきた。

なんでもねーよ と言えば心晴は不満そうな顔をする。

自分だけ仲間外れにされているような感じがして、嫌なのだろう。

実際俺もそうだった。

けれどこればっかりはしょうがない。

まだ、心晴に正体を言うわけにはいかない。


俺は、心晴の頭に手をのせてわしゃわしゃと撫でた。

「...なんか、それ、兄貴がするのと似てる。」

「嫌か?」

「...嫌じゃないけど。」

(安心するのと同時に、兄貴の事を思い出すから悲しくなる。)