しかし、一瞬にして犬と猫に囲まれてしまった。
普段の可愛らしい面影は何所にも残っていない動物に、
俺は思わず顔をひきつらせた。
「ワン!ワン!」
犬が吠えれば、何所からともなく大勢の動物が姿を現した。
仲間を呼んでいるのか、吠えるのをやめない。
あっという間に数十匹が集まってしまった。
冷や汗が頬を伝う。
兄貴が焦ったような表情でこちらを見ている。
「心晴!」
「っ!」
突然、数十匹の動物達が一斉に飛びかかってきた。
俺は咄嗟に未空を強く抱きしめて庇う体勢を取る。
兄貴がこっちに向かって走ってくる。
けど、間に合わない。
どうすることもできない俺は、来るであろう衝撃に耐えようとぎゅっと目を綴じた。
___ガッ、
背中に激痛が走った。
引掻かれたのだと理解する前に、次なる衝撃が来る。
思い切り腕に噛みつかれ、俺は顔を歪めた。
「ッ、心晴!」
兄貴の声が聞こえて顔をあげれば、大きな口をあけて飛びかかってくる犬が視界に入る。
驚きと痛みで悲鳴をあげることもできなかった。
恐怖で硬直している未空だけは絶対に護ろうと思い、抱きしめる腕に力を込める。
刹那、
「キャゥン!」
飛びかかってきた犬は突然倒れた。


