「はぁっ、ハァ、」
普段運動不足の俺はすぐに息を切らせる。
「心晴、しっかりしろ!」
隣で走る兄貴が声をかけてくれるが頷くので精一杯。
俺の少し後ろを走る未空はまだ余裕なのか、
最後を走る慧をちらちらと見て気にしていた。
「空地に入ったら裏道から大通りに出て逃げろ!」
「ッ、慧は!?」
「後で行く!心晴、未空を頼んだぞ!」
突然、慧は立ち止まり迫ってくる動物と向き合う。
慧の強さを知っている俺は、今回も大丈夫だろうと考える。
「おい、アイツ大丈夫なのか!?」
兄貴が焦ったように声をあげる。
「だ、いじょうぶ。慧は強いから!」
俺は未空がついて来ているか確認しようとして振り向く。
未空と視線が交じり合い、頷きあう。
慧が戦っているのを見てから、再び視線を前に戻した。
空地に入り、言われた通りに裏道へと続く出口に向かう。
数匹、背後から迫ってきているがこれくらいならなんとかなる。
ホ、と気を緩めた時 ガッ と背後から音が聞こえた。
「きゃっ!」
振り向けば、石に躓いた未空の姿。
俺は咄嗟に彼女を支えようと手を伸ばす。
___ズザァ
そのまま俺と未空は派手に転んでしまった。
「心晴!門倉サン!」
それに気づいた兄貴が慌てて戻ってくる。
「ッ、未空、大丈夫か?」
「う、うん...ごめん、有難う。」
体を起こし、怪我がないか確認した後すぐに立ち上がり再び走り出そうとする。


