*心晴視点
話が終わったのか、未空と慧はこっちに戻ってきた。
兄貴は慧をじっと見つめている。
「未空、慧と知り合いだったのか?」
「う、うん。」
「...抱き着くような仲なの?」
何故か、そこが気になってしまった。
自分で変な質問をしていることを自覚しながら問うと未空は 違う! と声を張り上げて否定した。
(そ、そうなりたいって思ってるけど、
ぜ、絶対無理だし!)
否定した割には考え込んでいる彼女を見て、俺は自然と眉間に皺が寄った。
(なんか、イライラする)
「...何所かで、会ったか?」
兄貴は慧に向かってそう問いかける。
すると慧は兄貴と視線を合わせる事はせず、
動揺しながらも気のせいだと告げた。
「...だよな。なんか、会ったことあるような気がしてさ。」
「・・・。」
微妙な空気が漂う。
「...、あの、」
慧が突然真剣な表情で口を開いた時だった。
ニャー、
猫の鳴き声が響く。
全員の視線が猫へと向いた瞬間だった。
『ニャー!』『ガルルル、』
威嚇した犬と猫が大量に飛び出してくる。
「ッ、なんだコレ!」
兄貴は驚きの声をあげる。
慧は舌打ちする。
「空地に逃げろ!」
その言葉を合図に全員が走り出した。


