「死んだはずなのに、気づいたら19日に居て...


未空に会ったんだ。可笑しいよな、こんなの...」


心晴君は、私以上に怖いし不安だと思う。

それに、峯岸さんにこんな過去があったなんて知らなかった。

私がいた世界が滅びずに在るのは、心晴君が救ってくれたからかもしれない。


私は何も知らない自分自身に腹が立った。

そして、無性に悲しくなる。

峯岸さんは、明日の運命を変えるために過去に来たに違いない。



さまざまな思いがぐちゃぐちゃに絡み合って、

私は思わず泣きそうになる。

「み、未空!?」

心晴君は私を見て驚く。

心配させないように、私は鼻をすすってから真剣な目で彼を見た。


「その話が本当なら、心晴君は明日を救うために来たんでしょ?」

「...もし、そうだとしても現実的にありえない。

それに俺にできるわけないよ。」

弱気な心晴君にむかって できるよ と断言すると怒鳴られてしまう。

けれど私はひるまず、彼から視線を外さない。


「私も協力する。」

「っ、え?」


「1人より、2人のほうが心強いでしょ?」

私には、何もできないかもしれない。

けれどこのまま明日が来るのを黙って見ているだけなんて嫌だ。

「...なんで、なんで、会ったばかりの俺にそんなに優しくしてくれんの?」

不思議そうな表情でそう問う心晴君を見て、私は んー、 と考えるようなしぐさを見せる。


これ以上彼をパニックにさせないためにも、未来から来たことは言わないほうがよさそうだ。


「まだ、内緒。」

峯岸さんの真似をして、いたずらっぽく人差し指を口元にあてて言った。