(ど、どうしよう!)
タイムマシーンで元居た世界に戻るにも、操縦の仕方が分からない。
バクバクと心臓が再び暴れだした。
泣きそうになるのをこらえて、歩き出す。
(あの女のひとは峯岸さんを護ってと言っていた)
一体、何から護ればいいんだろう。
私が過去に来たということは、過去の峯岸さんを 何か から護ればいいのかな。
うーん、と唸るとぱちりと誰かと目があった。
(え、誰!?)
その人はじ、っとこっちを見てくる。
どことなく、峯岸さんに似ている気がした。
ゆっくりと近づいてくる男のひとに、私は思わず後ずさる。
「お前、誰?」
「えっ、」
誰?って、どういう意味?
「幽霊、じゃないよなぁ?」
じろじろと私を下から上まで見る彼に、私は冷や汗がどっと流れる。
「あ、あなたこそ誰ですか!」
「俺は峯岸陽人(みねぎし はると)。」
峯岸、という苗字にピクリと反応した。
「もしかして、峯岸心晴さんの兄弟の方ですか?」
「お、心晴を知ってんのか。」
心晴の友達か?と親しみやすい笑顔で話しかけてくる彼にとりあえず頷いておく。
ここは話を合わせておいたほうが良さそうだ。