「心晴とお父さんに、行ってほしくないんだよね?」

「え?」

どうして、わかるの?

私は驚いて女性に視線を向けた。

返答できずにいると、女性が私の耳元に口を近づけてそっとつぶやく。


「心晴が好き?」


「っ、」

どくん、

大きく心臓が唸る。

目を見開き、女性を見ていることしかできない。

「おい、」

峯岸さんが女性を止めているが、彼女は笑う。

そして、私の両頬にそっと触れると視線をあわせて彼女は言った。

「あなたに、頼みたいことがあるの。」

「なん、ですか。」

「心晴を、護って。」

「みく!」

峯岸さんは声を張り上げた。

私ではなく、女性に向かって みく と呼んだ。

私と、同じ名前?

どうして?


峯岸さんが女性の腕をつかむが、彼女はそれを振りほどき私を勢いよく押した。

「っきゃ!」

衝撃で体がぐらつき、再びタイムマシーンの中へと入りこんでしまう。

「待て!未空、やめろ!」

「ごめん、心晴!」

女性は素早くタイムマシーンの中に潜り込むと、操縦席を操作して外へと出る。

「えっ、ちょっと!」

私は思わず叫んだ。