「大丈夫。社長...、いや、君のお父さんは絶対に守るから。」

私には、峯岸さんがただ子供のころからの夢を実現させるためだけに

タイムマシーンを作ったとは思えなかった。

「峯岸さん、...一体、何をしようとしてるんですか?」

彼の瞳をじっと見て、私は問いかける。


「大切な人を護るために過去に行かなきゃいけないんだ。」


「どういう意味ですか?」

「内緒。」

彼は人差し指を口元にあてて、いたずらっぽく笑った。

これ以上聞いても、きっと教えてくれないだろう。



「心晴、メンテナンス終わった?」

「あ、」

突然聞こえた女性の声に、私はそっちを向いた。

そこには峯岸さんと同い年くらいの女性が立っている。


「ちょ、今はこっち来んなって!」

「え?なんで?」

女性は峯岸さんの元まで駆け寄る。

そして、近くにいた私に気づき不思議そうな顔をする。


(この人が、峯岸さんの彼女さんなのかな...)

よく見れば左手の薬指に同じ指輪がはめられている。

ズキン、と心が痛んだ。

女性は私を見て、ふわりと優しい笑みを見せた。

「なんでここにいるの?」

「っ、ごめんなさい!」

怒られるのだと勘違いした私は謝り勢いよく頭を下げる。

すると、女性は困ったように笑った。