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納得いかない、というような表情で研究員達は心晴と未空を見ていた。

門倉は真剣な表情でこちらを見ている。



数10分前、動物達を追い出し、タイムマシーンの修理を終え、やっと一段落ついた研究員達の元に門倉がやって来たのだ。


そして一言、

「タイムマシーン、貸してくれない?」

と聞いてきた。

もちろん研究員達全員で反論したが、彼女の お父さんに言っていいの? の一言で辺りに沈黙が落ちた。


「門倉さん、色々ありがとうございました。」

心晴が礼を言えば、門倉は首を左右にふってから未空に視線をうつす。


「昨日はごめんね。」


きっと彼女は、未空をタイムマシーンに無理矢理乗らせ、タイムスリップさせた事に対して謝罪しているのだろう。

未空は いえ、謝らないで下さい と言ったが、門倉はどこか腑に落ちない様子だった。


「…二人とも、気をつけて。」

「はい。」

二人はしっかりと返事をした。未空が持つ鞄には、病気の症状を遅らせる薬が何個か入っている。

とりあえず、もう一度19日に戻る事にした心晴と未空は、過去を変えてから慧をどうにかして探すつもりだった。

どうすればいいかなんて、具体的な事はわからないけれど立ち止まるわけにはいかない。

心晴は慣れた手つきでタイムマシーンを操作した。