「俺は七瀬 雅(ななせ まさし)。…君は道木さんだよね?」


彼はそう言って傘を差し出してきた


七瀬 雅…


………知らない


でも、なぜ私の名前を知ってるの?


「あ、ごめん。急に言われてもびっくりするよね。……俺、道木さんと同じクラスなんだ。先週引っ越してきたんだ」


………そうだったんだ


でも、この人も私のこと噂で聞いてると思うから…


私のこと…絶対汚いと思ってる


この親切もきっと同情だ


「あの、私の家すぐそこなので」


私はそう言って傘を受け取らずに帰ろうとした


でもそれは彼の手によって止められた