陣内や高木からすれば、如月の不満なんて贅沢なのだろう。
…人の気も知らないで!
ジョーカーという人間は知れば知るほど理解出来ない事が多かった。
いつもポーカーフェイスで何を考えているのか判らないのだ。
なのに彼女は自分の心を見透かす。
如月はその不公平さにも納得がいかない。
「顔は可愛いんですけどねぇ~…」
「うんうん。ちっちゃくて人形みたいだろ?」
隣のデスクの高木が如月の呟きにそう言う。
…人形…。
彼女にピッタリな比喩だと思えた。
「笑った方がいいのに…」
「笑う…!?彼女が?ないない!二年くらい前からジョーカーちゃんを知ってるけど、笑顔なんて見たことないし!」
「えっ…?そうなんですか?」
という事は先日一瞬見せたあの笑顔は物凄くレアだったのかもしれない。

