思い返せば朝から可笑しいくらい不吉な予兆があったのだ。
まず、昨夜クラブでお持ち帰りした女の子が、明るい所で見たら凄く…いや、物凄~く残念な感じだったり…
自分の失態に嫌悪するも、妙にベッタリなその子に寒気がした。
あれこれ適当な理由を付けて部屋から追い出し、気分を切り換える様にいつもはしないネクタイを絞めた。
鏡の前で身だしなみを整える。
服も髪型も、そして自分で言うのもなんだが…顔も完璧だった。
「よしっ!」
如月は綺麗に磨いた靴を履き、マンションを出て唖然とする。
ゴウゴウと唸る横殴りの風がエントランスの重い両開きのドアを揺らしている。
「…不吉だ…。」
そして、その予兆はそれだけでは終わらなかった。

