棚の上段に背伸びをして手を伸ばす少女に如月はクスッと笑うと、後ろからそのファイルを抜き取った。
「このファイル?」
「…すまない。その隣のも。」
「…これ?」
如月からファイルを受け取ろうと手を出したジョーカーに彼は「駄目!」と手の平を鼻先に突き出した。
「女の子に重い物持たせるなんて、俺のプライドが許さないんで。」
彼女はジッと如月を見つめてから、また「そうか」と言って差し出した手を下ろした。
小さな簡易デスクに資料を置くと、ジョーカーはそれを手に取りペラペラと捲る。
「…聞いてもいい?」
「なんだ?」
「何であんなこと聞いたの?」
「…皆本心はそう思ってるから。」
「そうかなぁ~?」
デスクに凭れて天井を仰ぐと、如月はう~ん…と唸った。