それは何の前触れもなしにやって来た。



あれから数週間が過ぎ、JOKERの事も忘れかけていたある朝。



前の晩はナンパした女の子との濃密なデートだった。



お陰で寝不足の如月は、大あくびをしながら署に出勤する。



「・・・眠そうだな・・・」



「まぁ・・・眠いっす・・・」



「はぁ・・・若いねぇ~」



溜め息混じりにそう言う陣内に如月は「まだ25なんで」と笑った。



午前中は先週一段落した窃盗事件の報告書に追われ、やっと片付いた午後、部署の廊下がザワザワと騒がしくなった。



「なんですかねぇ・・・」



「さぁな。」



デスクに座りながら遠巻きにその騒ぎを見ていると、課長が制服を着た女の子と入って来た。



「おい!・・・あれってジョーカーちゃんじゃないか!?」



陣内が立ち上がって身を乗り出した。



高木も「マジですか!?」と首を伸ばす。



興味のない如月は「何がいいんだか・・・」と呟くと、書類整理を始めた。