あの日、あの時、英志くんに出会わなければ、きっとあたしは幸せだった。

たとえ、それが偽りの幸せでも今よりマシだった。




あなたが言った通り、あたしの心はもう手遅れだよ。

こんなにも、あなたの香り、声、すべて忘れられないよ…。



雨はもう降っていなかった。

でも、あたしの心は止まない雨で真っ暗だった。