「もしもし、」 英志くんは、一体何を考えてるの? 「千雪?」 この声を聞いただけで、胸がチクリと痛む。 この痛みは篤志の浮気に対するものなのか、篤志への罪悪感なのか。 「…なに?」 自分でもひどく冷たい声色になったのがわかった。 「今から会えない?早めに帰ってこれたんだ」 平然とつかれた嘘。 いつものあたしなら喜んで承諾しただろう。