言うまでもなく、あたしは真っ赤になった。 「アンタ、自分が何したか分かってんの!?」 「兄貴の女にキスした」 しれっと答える彼に、唖然としてしまう。 「兄貴より、俺のがうまいでしょ?」 ああ、もう! ほんとにこいつ…最低だ。 「気持ちの入ってるキスと比べないで!」 「は?」 「あんたの周りの女は、そのキスで落ちるかもしんない…。だけどねえ、あたしを他のやつと一緒にすんな!」 そう言って、あたしは尚も腕を掴んでくる英志くんを振り切って走った。