一年A組の教室



「おはようございますっ」


担任が入ると、
号令に続き一斉に起立する音がして、
元気の良い挨拶の声が聞こえた。


百合華は、
まだ教室に入らず
廊下に立つ。



「おはよう」


先生が挨拶を返し、

再び号令で
着席する。



「今日は、
転校生が来ています。

泉さんっ」


「はい」


先生に促され、
百合華は教室に入った。

みんなの前に立つ。


「泉さん、
どうぞ御挨拶して」


「はい。

泉 百合華です。
よろしくお願いします」


百合華がお辞儀をすると、
クラスの先生たちも
それぞれに頭を下げた。


「みんな、よろしくね。
泉さんは、小学校一年生までこちらに住んでいたそうです。
だから、懐かしいかな。
みんなで仲良くして下さいね」


『ハイ』


みんなは一斉に返事をした。



「えー、泉さんの席はとー、

あ、そこの空いてる席に」


「はい」



百合華は、

前から三番目
窓際の席についた。