「申し遅れました。太郎君と多実ちゃんのほし組の担任の梅田です。」
太郎ちゃんと多実ちゃんの担任???
なにこの偶然。
「そ、そうでしたか…。すみません、こんなあり得ない偶然にびっくりしちゃって。では、よろしくお願いします。帰りは母が…」
とりあえずここから脱出したい!!!
と、振り返った瞬間だった。右腕をひっぱられ引き寄せられる。
「ひゃっ………」
またしても梅田さんの胸の中。
と、同時に
「鈴ちゃーーーんっっ!!!」
多実ちゃんの叫び声が幼稚園中に響き渡ってるらしいけど。
「ったく…。幼稚園ルールその1。元気よくあ・い・さ・つ…してませんよね?」
私の中ではもの凄い低温ボイスが耳元で響き渡っていて。
「お。おはようございます…?」
足元では太郎ちゃんがお腹を抱えながら笑っていて。
「太郎?鈴お姉ちゃんに幼稚園ルール教えてあげないとな。」
「これで失礼します!!!」
私は幼稚園を逃げ出した。
こんなの耐えられない!!!
「ちょっ待って!話があるから…帰りも来てくれる?」
絶対に行かないから。そう誓いながら長い上り坂を猛ダッシュした。


