隣のご家族


「親父、母さん。
俺、東京に行く。

今の練習場の先生に
自分の本事務所に来ないかって。

だから、俺、その…。」

「そう。
彰雅の夢だったもんね。

良かったじゃない。」

「母さん…。」

「ちゃんと住むとこは
決まってんだろうな!
家賃は!?

こっちは仕送りなんか
しないぞ!」

「ちゃんと住むとこは
決まってる!

萩原さんが知り合いの
マンションの管理人に
話はつけてあるし、
家賃も7万!

大学も卒業してるし、
バイトだってする。
親父の力は借りないよ。」

「ったく。
いきなり何を言い出すかと
思えば。

行くからには
結果を残すまで
ここには帰ってくるな!」

「わかってるよっ。

じゃあ明日、行くから。」