「……そう気にすることないよ。沙良の心の準備もあることだし。自分のペースが大事だよ?」 亜弓が言った。 自分の、ペースか……。 「ま、意識しなくても、そういう雰囲気には絶対なるから。少なくとも、向こうはそういう雰囲気を作ろうと思ってると思うよ?」 そっか…。 私、意識しすぎてただけなんだ……。 「まったく、沙良はほんとに不器用なんだから。」 「言われなくても分かってるもん!」 分かってる。 人と面と面で向き合った時、どんな態度を取ればよいのか未だに分からないんだ。