里帰しの3人

そして2人の援護もあってか、無事に湖に辿り着いた。

良かった。2人共傷つかずに今回の仕事は終えられそうだ。そう思ってたのに。

ほんの一瞬のこの油断が、想像していた明るい未来を黒く塗り潰す事になるなんて。


「アーテル!」

「……え?」


何時もより少し荒いイーシャの声に反応し、振り向いたその瞬間だ。

見えたのは後姿のイーシャ。そのイーシャの左肩を、ギフトリスが…………噛んでいた。


「…………くっ」


イー、シャ? ねえ、なんで? なんで貴方が噛まれているの?

私がやっと助けられると思って、前が見えずに油断したから?

レイがすかさず私が持っていた果実を湖の方へ投げると、ギフトリスは目の色を変えて走って行った。

果実を手に入れる為に。恐らく近くにいるであろう仲間と共に、これから生きていくだろう。

そんな光景がスローモーションで見えた。