僕は、とたんに吐き気がした。 僕が恋したのは、狐だったということか。 そんな、馬鹿な。 あまりに悍(おぞ)ましくて、その場から立ち去ろうとした時。 「これからは、ずっと一緒よ」 狐が言った。 「そんなわけないだろう」 顔が引きつった。 「ううん。一緒よ。だから、あなたのお父さんを許してあげたのよ」 「意味がわからない」 そう言った時だった。 水面に映る自分の影に目をやった。 そこには、ぴんとしたひげの狐が一匹、確かに映っていた。 -fin-