口角がニっと上がった。


 ゾクっとしてしまったが、逃げることなんて当然出来ない。


 浩貴の両手が私の顔を包んでキスをする。



 周りの視線が集まっているのが確認出来た。


 恥ずかしい・・・。

 そんな気持ちをこめて拒否しようと思って、浩貴の胸を手で押すが、いまいち力が入らない。


 許可なく舌が入ってきて、腕の力は完全に抜けた。


 体の力さえも抜けてしまいそうになって、私の体を浩貴の腕がしっかりと抱き寄せる。



 もう、されるがまま状態。


 もう思考能力は働かないし、恥ずかしいと思っても、抵抗する力もない。


「っ・・・んん・・・っ、はっ・・・」

 少し離れた唇。

 
 苦しくて、息を吸う。


 またくっついて、舌が侵入してきた。


 
 この男・・・。


 わざと人が多いとこ選んで、見せつけるなんて性格悪い・・・。


 でも、その性格をしって今まで付き合ってきたのは私だ。



 束縛性悪男なんてわかってたことだ・・・。



「もう、ギブ・・・」


 唇が離れた一瞬に、ギブアップを伝える。


「分かった。キスはやめてやるよ」

「キス・・・は?」