「麻友!」
体育館にいってみると、読み合わせをしていた。
由梨の真剣な横顔を見つめる向井くんを、私は見ていた。
好きだなぁ、全く。
前、私に告白してきて浩貴に殴られた人物だとは思えない。
まぁ、そのことは彼の黒歴史だろうから、私の中の日記の中だけでとどめておこう。
「ねぇ、“まだ汚れてるわよシンデレラ”ってセリフに対して、“なら、自分でやりなさいケバ女”って返しはなしなの」
「シンデレラはおしとやかで優しく!」
ダメ出しをいれられたシンデレラは不服そうだ。
でも、必死にセリフを覚えようと読み込んでいる。
体育館に、体操服姿の男女が集まって読み合わせ。
・・・なんか、文化祭青春の1ページって感じだな。
体育館の上の方にある大きなマドから入ってくる光も、それっぽくさせている。
なんだかマンガの1ページを見ている気分。
まぁ、私もクラスの一員だから客観的でもダメなんだけど。
「ねぇ、これから音響と役者あわせない?」
監督(仮)にそう提案してみると、快く承諾をしてくれた。
先生用に考えていたシナリオは現実となったわけだ。
なんだか、青春の1ページの中に自分も入りたい気分になったんだ。
青春ってなんだ。
今これが青春なんでしょう。
きっと。
劇1つ作るのも、かったるいけど青春だ。

