私たちの通う学校では、文化祭が始まる2週間前から授業ナシの準備期間となります。

 
 現在は、準備期間1日目。


 私は音響として、音のチェック等。



 浩貴は・・・


「そこのペンキとってくんね?」

「はい、これっすか?」

「はいはいどーもー」

 
 生徒会長のバッジのついたブレザーをぬいで、汚れてもいいようなTシャツに着替えて、頭にタオルを巻いた浩貴がペンキを塗っている。

 
 ・・・GJ!!

 裏方でもかなりいいとこを見れた。



 でも、生徒会は・・・。


 仕事はどうなったのかな、なんて聞こうと思ったのに、ほかの男子に先をこされたっぽい。


「生徒会の仕事? あるけど、今は学級の時間ー。次の時間はオレいねぇけど頑張れよ」

 
 次はいないんだ・・・。



 でも、今いてくれただけでもすっごく嬉しいです。


 充電できました!


 心の!



 なんてニコニコしていると、浩貴がこっちへ駆け寄ってきた。


「麻友、お前音響なの? 役者さんの麻友みたかったのにな~」

「だ、だって・・・そんな」

「麻友」


 周りに人がいないのを軽く確認すると、チュっと唇をくっつけてきた。


 すぐ離れたけど、十分だった。