「あ、写メ写メ・・・」


 思いついたように、空いている方の左手で携帯を探る。

 ストラップがシャランと音をならして、ポケットの中からすべり出てきた。


「いただきです」

 カシャっとシャッター音。

 携帯の画面いっぱいには浩貴の寝顔。


 うきゃぁ、まじ可愛い。

 もう、待ちうけにしちゃおっかなぁ!!!


「ん・・・麻友」

「ひゃっ・・・」
 
 いきなり名前を呼ばれてビックリして携帯を落とす。

 後ろを振り向くと浩貴。

 寝言だったのかな、少しむにゃむにゃして一定の寝息を立て始めた。


 私はサラサラの前髪に優しく触れた。


「好き」


 そう言って、思わず浩貴の手にキスをした。


「あ・・・」

 っぶね。

 起きてないよね。

 セーフセーフ!



 こんなこと、浩貴が起きてたら恥ずかしくて出来ないや。


 私は眠っている恋人の顔をじぃっと見つめて、少し笑った。

 そして、そのまま眠りに落ちた。