おい、ちょっと待て。

 浩貴が女装したら私より完璧美人じゃね?


 女の私が、女装男子に負けるかも・・・なのか。

 
 この、この野郎。


「何、怖い顔して」

「うっわぁ!」

 いきなり目を開けた浩貴にビックリして、思わず後ろへ引く。

「バカ・・・」

「寝てたんじゃ」

「寝かけてはいましたが」

「・・・寝といて」

 
 私はふてぶてしく呟いて、浩貴のおでこに手をのせた。


「冷たいな・・・お前の手」

 私の手を頬に当てながら、浩貴は目を閉じた。

 あれ、あれれ・・・?


 浩貴にガッチリつかまれた私の右手。

 抜ける気配はなし。



 次の授業まで約3分。


 間に合うわけはない。

 別に間に合わなくてもいーよな気がしてきた。



 こんな可愛い寝顔見てたら。