「そういえば、浩貴って生徒会長だよね」

「あぁ」

 もう呼ぶのに慣れてきた呼び捨て。

 そして、忘れていた生徒会長という立場。


「仕事とか・・・ないの?」

「毎日・・・朝、やってる」

「朝、何時に来てるの?」

「6時・・・」

「早っ」

「しょうがねぇだろ、朝終わらせねぇと・・・お前との時間なくなるだろうが」

 目をこすりながら、浩貴はさらっと簡単にみえて心のこもった言葉を言う。

 そして、ソファにゴロンと横になった。


 眠いのかな。

 当たり前だよね、お仕事いつも朝早くに終わらせてるんだから。


 生徒会長って大変だよね。

 ソファに横たわる浩貴の顔を少しのぞきこむ。

 目の下にくま。

 薄いけどくま。


 頑張ってる証拠だ。


「浩貴、1人で頑張りすぎないで。私も・・・その、協力する!」

 何が言いたいの。

 私なんか、生徒会長の仕事なんか出来るわけない。


 でも、力になりたかった。


「お前はさ・・・笑ってるだけでいいよ」

 私の髪を手にとって、指を通す。

 そして、疲れた顔で無理矢理笑った。


 そんな笑顔、こっちは苦しい。