「っ・・・・・・」

 私の大声に驚いたのか、グっと耳をおさえて私から一歩後ずさった。

 そして、優しく笑うと私の頭を撫でた。


「もう1回」

「ひ、浩貴」

「麻友。ありがと。もっと言って」

「え~・・・」

 そんな呼ぶのなれてないんだけど。


 仲谷・・・ひ、浩貴が喜ぶなら・・・・・・。



「浩貴」

「もっと」

「浩貴、浩貴、浩貴・・・」

「麻友」

「浩貴浩貴ひろ、んっ」

 浩貴と連呼している口を、浩貴の唇がふさいだ。

 
「っは・・・ひろ、ん」

 離すとまた塞ぐの繰り返し。

 何度目か、やっと離れて浩貴の舌が私の唇を舐める。

 肩がビクっとなった。


「呼び捨てありがとう麻友」

「ん・・・」

 もうクタっとなって、ろくに返事も出来ない現状なのだが。

「でも、将来必ず呼び捨てしねぇといけねぇから、今からなれててよかっただろ?」

「え・・・なんで?」

「だって、仲谷くんって呼ぶのおかしいじゃねぇか。お前も仲谷になるのに」

「・・・・・・・//////」

「仲谷麻友さん」

「なか・・たに、まゆ」

「そうだよ」


 頭の中で、仲谷麻友って漢字を思い浮かべた。

 別に、悪くないんじゃないかな。