「キスマーク」

「え、あ・・・」

 首筋の一箇所をグっと指でおされた。

 その箇所には、赤い印。


「数学サボって、何してたのかな~」
 
 由梨がにんまりと笑う。

 心臓がドキっとした。

 
 いや、さすがに、数学サボって彼氏とエッチしてました~。何て言えるわけがない。


「何にもないでーす」

「とぼけるなー!」

「とぼけてまっせーん」

 いくら由梨でも言えるわけがないでしょ。


「そういえば、彼氏できたよ」

「ふーん・・・・・・・・・って、えぇ!!!???」

 周りが驚くぐらい大声を張り上げた。

 そんな私をチラ見して、由梨は何事もないかのようにペットボトルのジュースを飲んだ。

 そして、耳にスっと髪をかける。


「何、そんなガン見して」

 雑誌をめくる手を止めて、私をジトっとした感じで見る。

「え、だってだって・・・」


 そういえば。

 そう思い当たる節は、いくつかあった。


 メイクをするようになって、髪をブローするようになった。

 ネックレスやピアスも付けるようになって、少しオシャレになった。


 彼氏ができたから。

 そういえば筋が通る。


「で、彼氏って誰?」

「あ、んー・・・・・・」

「由梨」