私のしんみりした顔に気付いたのか、仲谷くんは私の手をパっと離す。

 そして、困り顔でそっぽを向いた。

 別に、困らせる予定ではなかったんだけどな。


 私は思わず下を向く。


「あのさ、別にすごいイヤなわけとかじゃなくて」

 あ、言い訳っぽい。

 違う。

 もっと、もっと。

 ちゃんと言いたいこと。


「仲谷くんは・・・私のどこが好きなの?」

「・・・はぃ?」

 予想してなかった言葉に、仲谷くんはすっとんきょうな声をあげた。

「その、どこっていうか」

 私の、体だけが欲しいの?

 愛情表現って、そういうことだけ?


 っていう。

 そういう質問を用意していたのに、なぜかそれて、こういうことを言ってしまう。


 ま、いいや。

 結果オーライだ。


「どこってなぁ・・・」

「1つでいいから」

「・・・1つ? なおさら言うの困るんだけど」

「え、じゃ。3つ」

「すぐ顔真っ赤にして照れるとことか、オバケ怖いとことか、料理上手なとこ」

「即答ですか」


 ま、いいけど。


 ふーん、そうなのか。


 喜んでいいのか、嬉しく思っていのか。

 不思議なんだけどね。