「麻友・・・」

 とか、名前を呼ばれて真剣な瞳になれば、制服のボタンに手がかかっている合図。

 あぁ、もう。

 エンドレスうざったいぃぃぃ!!!


「仲谷くん、やめ・・・」

「・・・(無視)」

「やめて」

「・・・(無視)」


 いいかげんキレるぞ。


「仲谷ぃぃぃ!!!」

 と、自由だった足で思いっきり蹴り上げる。

 いい感じのヒットだったらしく、仲谷くんは後ろにフっ飛んだ。

 私は、ソファにグっと力をこめて体を起き上がらせる。

 そして、2、3度深呼吸した後、制服のボタンをちゃんと直した。


「ってぇなぁ・・・何しやがんじゃい、ボケ!!!」

「キレたいのこっちなんだよ、バカぁぁぁ!!!」

 なんと低レベルな争い。

「お前、何でそんな拒否るんだよ。お前はしたくねぇのかよ!?」

 うっ・・・。

「別に、したくないとかじゃ・・・なくて」

 言葉につまって、しどろもどろ。

「じゃ、何だよ。1回しちまった後なんだから、最初よりかはヤリやすいだろうが!」

「あ、あの時は!! 何か場の雰囲気に流されたというか・・・」

「流された・・・?」

「や、ちが。何か、気分がノってたというか」


 だって、プレゼント宣言して。

 自分にもらってほしいとかいって。

 かなり自分は自分でノっていた。


 だから、あの時と今は違う。