「・・・うぅ、何か無理」

 夏の夜。

 イコール怖いこと。
 
 と考えてしまう自分。


 時計に目をやると、10時を少しまわったくらい。

 電気を消して寝ようと思ったのだけど、頭に怖いモノばかりが出てくる。

 オバケとか、血だらけの人とか。


 で、怖くなって布団からガバっと起き出した。


 暗い部屋に1人ぼっち。

 怖い、怖すぎる。


 オバケとかダメなんだよ、自分。



 私は、枕をギュゥっと抱いて仲谷くんの部屋に向かう。

 なんせ頼れるのが、今この家であの人しかいないわけで。


「仲谷くん、起きてる? てか、起きてて」

 少し不安げにノックをして、1人言のように言う。

「ん・・・どうした?」

 眠そうに目をこすりながら、仲谷くんが顔を出す。
 
 無造作な髪は、濡れているせいかペッタリしていて、印象がガラっと違う。

 目は眠たいせいか、鋭さがなくて、何か可愛い子供みたい。


 いやいや、待て。

 今、こんな観察してる場合でなく。


「怖いです、ガチで一緒に寝てください」

 ストレートに言い放つ。

「お前・・・怖いわけ?」

 コクリとうなずく。

 しょうがないじゃん。

 怖いモノは怖いんだよぉ!!