「じゃ、スーパーに発進」
ペダルをこぐたびに、ちょっとした振動が体を伝う。
そして、涼しい風が頬をかする。
だけど、すぐに仲谷くんに体温で熱くなる。
何か、付き合いたてみたいな感じで。
初々しい反応だな、自分。
でも、悪くはない。
まぁ、約3分してスーパーについた。
私は、入り口のカゴを手にさげて食品コーナーに向かう。
「何か、お前お母さんみたいだな」
「へ?」
ほうれん草を片手に持った私を見て、仲谷くんはクスっと笑う。
「お母さん・・・?」
そ、そんなに老けて見えるってこと!!!???
私は、自分の頬をギーっとつねって、ショック顔。
「ふ、老けてみえるの・・・?」
「いや、そうじゃなくてな。その・・・その買い物する姿とかが、お母さんみたいだろ」
「あ・・・そう」
「だから、オレはお父さん。旦那な」
指にするっと、指が絡まって手の甲にチュっと軽くキスをされる。
ふつーに・・・かなりの人前なんだけどな。
ほら、そこの男子も見てるじゃん。
これも、アレですか。
人近づけないための予防か、フィルターですか。
この、つないだ手も。
男子を近づかせないためのモノですか。
「これで、男子とか寄ってこねぇだろ」
束縛すごいなぁ・・・。
でも、それだけ愛されてるってことでしょうね。