「そういえば、何で迎えにくるんだろ」
チャリ・・・?
いや、困るよ。
私鞄デカいし、重いし。
徒歩でも十分困るけど。
車・・・じゃないか。
仲谷くんのお母さんとか、今日から旅行なんだっけ・・・。
そんなことを考えながら、窓からアスファルトの道をボーっと眺めていると、見慣れない真っ黒の大きな車がやってきた。
そして、インターフォンの音。
時計はピッタリ10時を指していた。
重い鞄をかついで、階段をおりていく。
重いし危ないわで、スピードゆっくりですけど。
やっとのことで降りて、ドアを開ける。
「っはよ。麻友」
「仲谷くん・・・」
やっぱ仲谷くんだ。
朝っぱらだってのに、いきなりギューっと抱きついてしまった。
当然、私の後ろにいた弟にガン見されたけど。
「車、乗れよ」
「あ・・・うん」
言われるまま車に乗り込んで、重い鞄をドンっとおろした。
ふかふかのすわり心地。
オシャレな洋楽。
運転席に座って、こっちを見ているのは・・・
「はじめまして。浩貴の母です」
仲谷くんのお母さん。
「は、はじめまして。わ、わたし・・・な、なな仲谷くんとお付き合いさせていただいてま、しゅ。あ・・・噛んだ・・・。えと、大木麻友と申します」
噛んでグダグダ。
恥ずかしくてしょうがなくて、バっと頭を下げた。

