「あぅ~・・・数学終わった」

「麻友、数学苦手だもんね~」

 と、親友の『松竹由梨』が、私の頭をポンポンとなでる。

 その手に甘えるかのように、私はニコニコと笑った。


「きゃー!! 仲谷さんが来られてるわ!!!」

 と、いう高い声が耳をつんざいた。

 驚いて廊下に飛び出すと、仲谷くんが珍しく、こちらの校舎に来ていた。

 いつも向こうの校舎の、生徒会室にいるのに。


「仲谷くん、何で・・・」

「・・・・・・お前に会いたかった。その理由はナシか?」

「ばっ・・・」

 ばか・・と、言いそうになって、恥ずかしくなってうつむいた。

 何で、こうもストレートなんだろう。

 恥ずかしくないのかな・・・。


 私は、聞いてるだけで恥ずかしくなってくるのに。

 私の顔が真っ赤になると、決まって仲谷くんは、自分の体へ私を押し付ける。

 
 仲谷くんいわく、私の真っ赤な顔を他の奴らに見せないため。

 可愛すぎるから、他の奴らに見せたくねーじゃん。


 らしい。



 あー、この言葉、頭の中でリピートするだけでも無理ー!!

 恥ずかしくなって頭がパンクしそうになって。

 熱い。


 
 このプレイボーイみたいな、仲谷くんに。


 振り回されてるんだろうな、自分。