「夏休み? オレは、ほとんどお前と過ごす予定」

 ソファにドカっと座って、チョコレートを口に運ぶ。

 その指が、長くて細くて、何かエロティック。


 っは・・・。

 何、エロティックとか思ってんの私。

 私は頭をブンブンと振った。



 ・・・ん?

 ちょっと待って。


 さっきの仲谷くんの言葉に少しおかしなトコが。



「ほ、ほとんど!?」

 夏休みって一ヶ月近くあるじゃん。

 それのほとんどって・・・どんだけ!?


「ん、まぁ。25日間くらい」

「はぃ!?」

 私の自由期間・・・5日ですか!?

 短くね!!??


「25日間・・・ずっと、仲谷くんと遊べ・・・と?」

「とりあえず。10日間くらい、オレの家来い」

「はぁ!!??」

「何、そんな騒ぐ事か?」

 騒ぐだろ!!

 付き合ってる彼氏の家に、10日間!!??


「な、長いよ。それは!! 仲谷くんのお母さんとかに迷惑かけちゃう・・・」

「・・・いないから、大丈夫だっての」

「え・・・」

 仲谷くんは少し寂しそうな顔で笑った。

 なぜだろう、時間が少しゆっくり流れてる気がして。

 そんな、寂しそうな顔しないで。


 いないって・・・もう、この世にいないってことなの?

 私、そんなことも知らずに・・・今、絶対傷口を深くした。