「ったく、さっきキスで消毒したばっかだってのに。また消毒だな」

「消毒・・・?」

 仲谷くんが私の方に迫ってきて、さっき向井くんに握られた右手をつかむ。

 そして、自然に口元へ運んだ。

「んあ!?」

 舌で指をもてあそばれてる。

 口を硬く閉ざしてないと、変な声が出そうになる。

 どんな消毒だよ・・・。


 指を抜こうとして、動かせば動かすほど、舌先につかまえられる。


「あ・・・ん・・ん・・・」

 自然と出る声に、自分で驚いて。

 ひざから下の力が、ストンと抜ける。

 でも、右手がつかまえられているので、右手はそのまま。

 後は座り込む。


「ん。消毒」
 
 別に、指を包丁で切ったわけじゃない。

 なのに、他の男につかまれただけで、これだけの消毒ですか。

 半分だけ呆れます。

 
 少し苦笑したけど。


 半分嬉しい。



「あの、野郎。吊るすか」

「つ、吊るす?」

「あぁ、ロープかなんかで屋上から」


 私は屋上を見上げた。

 太陽とかぶって少しまぶしい。


 屋上から地上までにはかなりの高さ。

 
 あそこから吊らされるのか・・・。




 ははははは・・・。

 かっわいそ。