何か、意外にツッコミの激しい人なのかな。

 優等生タイプのイケメンって感じだったけど。
 
 もっと、とっつきにくい人だと思ってたから、これからは普通に話したりできそう。


 何か、ちょっとホっとしたりね。

 私がホっとしてる横で、とんでもないこと起きてるけど。


「お前、オレの彼女に手出したおとしまえ、つけさせてもらうぜ??」

「いいじゃねぇか。告白とハグくらいなモンだろ?」

 2発目のストレートが向井くんの顔にめりこんだ。

 当然後ろに吹っ飛ぶ。


 あーあ、顔はれてそう。

 少しかわいそうだな。


「て、ことで。向井。ここはもう、おんびんにすませようや」

 向井くんの背中にドンっと乗っかった足に、すごく体重がかけられているなんて、他の人がみていたら気付かないんだろうな。

「どこがおんびんだ!!! 足どけろ!!! ごふっ」

 向井くんの体が地面にめり込む。

「そこは敬語だろ? あぁ?」

 ズズズズという効果音が聞こえてそうなほど、向井くんの体はドンドン地面に沈んでいく。


「あぁぁぁ。ゴメンなさいぃぃぃ!! 仲谷様!!! どうぞ足をおどけくださいぃ!!」

 もう声が必死すぎる。

「ま、許してやらんこともない」

 仲谷くんはパっと足をどけて、ふんっと向井くんを見下す。

 私は仲谷くんの横を通り抜けて、向井くんの側に座り込んだ。


「これ、使って。ゴメンね。仲谷くんがやりすぎちゃって」

 私は、うさぎの刺繍がついたハンカチを向井くんに渡す。

 そして、向井くんの顔についた土をパッパと振り払った。


 あ・・・こうやって間近で見てみると、やっぱイケメンだよなぁ。

 さっきの必死そうな声とか、地面に沈んでいく姿からは連想されないけどね。

 不思議と笑みがこぼれた。


「って、え」

 私の手を、向井くんがギュっと握り締めていた。

「やっぱ、オレ。アンタのことが好き・・・どぅあ!!!???」


 ストレート3発目。

 あーぁ、せっかく土はらってあげたのにさ。

 また土にめりこんでんじゃん。