「息ができねぇくらいのキス。これがおしおきだ」

 ニヤリとイジワルそうな笑み。

 私は、絶対。

 死んでもこの人に勝てることはないのだろう。


「あ、向井くん・・・」

 コツっと手にぶつかったペットボトルで、隣で気絶している向井くんの存在を思い出す。

 ペットボトルで、コンコンと頭を叩いてみても起きる気配なし

 
「麻友、どいて」

「あ、うん」

 私はペットボトルをギュっと握りしめて、仲谷くんに従ってその場を空けた。

 仲谷くんはその場所に座り込んで、右手の拳を固めた。

「何発か殴っときゃどうにかなんだろ」

「いやいや、待てぇぇぇぇぇ」

 
 ▼向井が生き返った

 ▼仲谷は拳をおさめた

 ▼が、やっぱ1発殴った

 ▼向井は後ろに倒れこんだ


 ▼向井は動かない。ただの屍のようだ・・・


「って、おいぃぃぃ!!」

 ▼向井はまた生き返った


「あれ、生き返ったんですか」

「ったりまえだ、このアホぉ!!」

 怒声を浴びせられても、仲谷くんは平気な顔。

 むしろククっと笑ってる。


「てか、アンタ。いつから起きてた」

「・・・何分か前」

「いや、いつだよ」

「お前らが、横でぶちゅぶちゅぶちゅぶちゅやってる時だよ!!!」

「起きればよかったのに」

「横でイチャついてるってのに、平気でポンと起きて、あ、おはよう。みたいなノリできるか!!!」