たしかに・・・好きって聞こえた。
幻聴じゃない。
後ろをゆっくりと振り向く。。
「あのな・・・後ろには誰もいねえぞ」
あぁぁぁぁぁ。
振り返れないぃぃぃ!!!
振り返ったら向井くんがいるぅ!!!
当たり前だけども。
え、だって。
本当に告白!?
まだ、自意識過剰になっていたほうがよかったかもしれない。
だって、心の準備ができていたから、
だけど、無理矢理おさえつけた自意識過剰。
心のガヤガヤ。
焦る。
焦ってあせって、考える事すら困難で。
「好きだって・・・言ってんだろ」
流れに流されそうになる。
私は、向井くんに腕をグイっと引かれて。
向井くんの腕の中にいた。
「や・・・」
「好きなんだよ」
大木さん。
と呼んでいた少し他人風だった向井くんの言葉は、少し乱暴になっていて。
焦っているんだと分かった。
ギュっとされる体。
もう、抵抗は困難で。
私には、驚きと焦りが混じっていて、抵抗する力がなくなっていた。

