その時、背中の辺りで何か振動する。


 何事かと思うと、浩貴のブレザーのポケットに入っていた携帯が振動していた。



「あ、もしもし。真?」

「真って・・・向井くん?」

「そうそう。で、真。何?」



 いつのまに携帯で番号の交換するまで仲良くなったのか。


 前までは最悪だったのに。



「え? 今、誰といるかって? んー。当ててみて」

 なぜもったいぶる。


「麻友? はは、ハズレ」


 ケラケラと笑ってそう答える浩貴。


 っええええ! 違わない!

 あってるあってる

 向井が正しいよ!!!



「麻友じゃなくて、オレの嫁」

「///」


 くそぅ。


 してやられた。



 こうやって私を真っ赤にして。



「オレの嫁。今日はオレの家来ない? 親いないし」


 こうやって甘く誘う。


 その誘いに分かっていてのる私。



 嫁と言われたことが、思いのほか嬉しかった。