「そういえば、ネックレスの意味って知ってる?」

「え、意味なんてあるの?」

「うん」

 ネックレスの星のとこに指をひっかけて、くいっと浩貴が引っ張った。


「首輪の意味があるんだって」

「首輪?」

「相手を縛る。束縛する。そういう意味」

「・・・・・・」

「だからずっと首輪つけとけ」

 もうコイツの束縛はどんだけ・・・。

 でも、好き。

 ていうか、もっと好きになったかもって。


 あるカップルは、束縛に耐え切れず相手が逃げるパターンがあるけど。

 私は耐え切れないことはない。

 束縛を愛情に変換して、ずっと自分の中に貯めることが出来るから。


 時々溢れすぎてしまうこともある。

 時々私も怒るときだってある。

 でも、浩貴と離れることなんて絶対出来ない。


 もう首輪でつながれてしまった。

 もう離れれない。

 離れる気もない。


「あと、これもやる」

「え、あっと・・・」

「指輪。まぁ、婚約指輪だと思ってくんね?」

「婚約指輪・・・」

 手のひらに指輪を握らされた。

 シルバーリングで、全体的にシンプルなデザインだ。

 
「まぁ、すっげぇ高いのじゃねぇけど、本物はガチで高いの買うから。家いっこ買えるくらいの」

「ふふっ・・・。それ買うなら家買いなよ」

「ひっでぇな」

「これ、つけて」

 指輪を浩貴に渡すと、私は手を差し出す。


 もちろん左手。