―――時間は流れた。
「もうそろそろで遊園地閉まっちゃうよ」
「もうそんな時間?」
「うん」
「そろそろ浩貴と向井くんと連絡とらなきゃ・・・」
カバンから携帯を取り出そうとしたとき、ギュっと誰かに抱きつかれた。
「わ!?」
「会いたかった・・・」
「えと・・・向井くん?」
向井くんは私から離れると、泣きそうな顔で私を見る。
「もう仲谷と一緒にいたくねぇ・・・」
「えと・・・よしよし」
やばい。
私の不安は的中していたらしい。
ひどい目にあったらしいな。
さすがに同情する。
私はえいっと背伸びをして、頑張って向井くんをよしよし、と撫でる。
「あ、仲谷」
「松竹てめぇ・・・」
「うわぅ」
なんか黒いオーラが出てる。
じっさい出てないけど、なんか幻覚で見える。
少し遠くからこっちへ向かって歩いてくる人物、仲谷浩貴。
私はパっと向井くんから手を離すと、浩貴の方へ小走りで駆け寄った。
「あー・・・えと、大丈夫?」
愚問である。
「お前もなんで電話にでねぇんだ? あぁ?」
キレ度MAX。
「あーえと・・・それはー・・・」
「麻友は悪くないよ。私が出ないでって言ったの」
「由梨・・・」
「麻友と一緒にいたかったの。まぁ今日は満足でした。ごめんね。それより仲谷浩貴。アンタ、私の彼氏に何してくれちゃってんの」
由梨はしたから目線で、ビっと浩貴を睨んだ。

