――― 一方。向井真と仲谷浩貴は。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
無言で仲良く(?)観覧車に乗っていた。
「・・・・・・まだ地上着かねぇのかよ」
「そ、そうみたいだね・・・」
まだ観覧車はてっぺんにすら来ていない。
・・・早く・・・早く・・・観覧車タイム終わりたい!!!
向井真はすごくそう思った。
目の前には、般若の形相と言っても過言でないほどの仲谷浩貴。
過去、この男にフルぼっこにされたうえで、屋上から吊るされたのは、まだ若々しい記憶である。
ていうか、トラウマとなりつつある。
そんなトラウマや恐怖からか、足が無意味に震えていた。
外のどんどん移り変わる景色など、見ている余裕もなかった。
「・・・おい」
「は、はい!!」
「お前の彼女はなんなわけ」
「え・・・」
「お前の彼女のせいで、オレはお前と仲良しこよし観覧車乗ってんだよ!!」
ダンと足踏みしたせいで、観覧車が大きく揺れた。
「う、わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
グラグラする!グラグラする!
やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!!
もう泣きそうなんだけど!?
何コイツ怖いわ!!
こんなんも全部。。。由梨のせいだぁぁぁぁ!!!!
「なんだお前。揺れんの怖いわけ?」
「当たり前だろ! もし落っこちたらどうすんだよ!」
「ふーん・・・」
仲谷浩貴は意味深に笑った。
そのすぐ後だ。
観覧車がまた揺れたのは。

