「仲谷のケチー!!」

「Wデートなんてしねぇよ。麻友もイヤだろ?」

「え? 別に楽しそうだからいいじゃん」

「・・・・・・」

 恨めしそうな顔で、浩貴は私を睨む。

 味方をするつもりはないです。


 だって、Wデートとかマンガみたいで面白いじゃん!

 そんな理由で、私は浩貴を裏切った感じになったんだけど。

 
 にしても・・・変な光景だな。


 生徒会室に、2つのソファに2つのカップルが座ってて。

 向かい合ってて。

 ・・・なんか変な感じ。


 そう思って笑みが零れた。


「いいでしょ。麻友もいいって言ってるんだし」

「・・・向井は?」

「オレは由梨がしたいよーにすればって思ってるけど?」

「3対1。はい決定ー!」


 由梨が嬉しそうにピースサインを突き上げた。

 浩貴は大きく舌打ちをすると、そりゃもう機嫌悪そうにコーヒーを飲んでいた。

 
 低糖コーヒー。

 浩貴がよく飲んでいるコーヒーだ。

 それが入っていたペットボトルは、ベコベコになっていた。


 浩貴の機嫌の悪さの現れだ。


 怒りの矛先は、きっと私に向けられるんだろう。



 ・・・泣きたい。